3月28日 レポート…ワンコールワーカーの実体②
2007年 03月 29日
家を出る前に派遣会社に一本電話を入れなくてはならない。これは「ちゃんと起きて派遣先に向かいますよ」って合図。
「派遣先に人がいってない!?」って状況を防ぐためのシステムなんだろう。
電話の代わりに携帯のサイトから申請もできる。
現代の日雇い派遣のシステムを説明する。
もちろん会社によって違うが、登録したばかりの会社の話をすると、前々日までに自分が仕事をしたい日を電話や携帯のサイトで申請しておく。
仕事したい日の前日の昼に、翌日の仕事があるか、あるならその内容とどこに言ったらいいかを電話連絡して聞く。
ご丁寧に、どういう経路で、何時初の電車に乗ったらいいかまで調べてくれる。そして、最寄りまでの時間を考慮して朝何時に出発しましたという電話を入れたらいいかまで教えてくれる。
朝、家を出るときに前述の電話を入れ、派遣先や待ち合わせ場所についたらもう一本電話をいれる。到着の合図だ。
あとは派遣先の指示に従う。
仕事が終わると簡単な勤務報告書を書いて、そこに派遣先のサインをもらう。
勤務報告書は2枚写しになっていて、1枚を派遣先に、1枚を自分で保管。
その1枚を派遣会社に持っていくと、給料を貰えるというシステムだ。
集合場所につくと、5、6人いる。
今日の派遣先は引っ越し会社のため男ばかり。
引っ越し屋にとってはこの時期が稼ぎ時。引っ越しだらけで足りなくなる人手を派遣でまかなおうというのだろう。
日雇いで働くのは全部で15人と聞いていたが、最終的に10人足らず。集まらなかったのだろうか。
ちなみに今日の日給は7500円。8時~17時の、実働8時間。時給にして1000円を切る。
さらに交通費含んでの日給のため、遠くの仕事になればなるほど交通費もかかり通勤時間も長くなるのでどんどん割が合わなくなるのだが、今回の交通費は往復800円。引いたあとの時給は(7500ー800)÷8=だいたい840円。
この金額をどうみるか。
派遣先はきっとみなさんも知っている、業界五本の指にはいるくらいの引っ越し会社。
会社に言っても、仕事内容の説明はなし。
引っ越し業務ということだけわかれば十分かもしれないが、自分がこれから何をするのだ、という流れがわからないので緊張がとけない。
引っ越し屋の服装に着替えさせられ、流れのわからない朝礼をすませ、社員さんと2人で2トン車に乗り込む。
閑話休題。
車の中できいたラジオが宣伝していた目覚まし時計。
時間がくるとけたたましい音とともに目覚ましの上についているプロペラが竹トンボ的な要領で飛び立つ。
部屋のどこかに落ちたプロペラを探して目覚ましの上に戻すまでベルは鳴り止まない。
アホだな、この時計。
大泉のジャンクションから上にのると「静かに」という標識がある。
寝ている子どもの絵が書いてある標識だ。
100mに一本ほど、5本くらい連続してたっている。
なんかの役に立つのか。
これ学校いく途中にもあるんだよね…。
普通の住宅地の中にポツンと。
高速でどう「しずかに」してほしいんだろうね。
さて本題にもどる。
俺が組むことになっ社員Kさんは坊主でゴツいあんちゃん。
金のアクセサリーをしていて、腕まくりをするとタトゥーがのぞく。
仕事内容を車中で聞く。
大学の研究室の荷物を他の大学の研究室と一般の住宅(おそらく教員の家)に運ぶというものだ。
「俺もキャンパスライフ送りたかったなぁ」というKさんの一言をきっかけに話をつないで、いろいろ話をして身の上話を聞くことができた。
高一で教員とのそりが合わず中退。
引っ越し業に従事し、一度やめてコンビニ、ホストなどで働くも体を動かしていたいという理由から引っ越し業に戻ってくる。
結婚しようと思っている彼女がいる。だが、会ったこともない相手の親には強く反対されているらしい。
Kさん曰く、「彼女の親は労働者を認めていない」んだそうだ。
話を聴くに、彼女の家はブルジョワな家な訳です。
彼女の父と兄は一流企業だし、姉は海外で働いていて、彼女自身も英語ペラペラ。
親からすれば、そんなどこぞの馬の骨ともわからんやつと、という感覚なのでしょう。
でも「彼女が俺にベタ惚れだからきっと大丈夫」だそうな。
こんな台詞、一度でいいから言ってみてぇ…。
その後、彼女とのちょっと特異な性行為の数々を武勇伝として聴かされる。
エロは国境をも越えるのであるから、社員と派遣の距離なんてなんのその。
彼女と付き合い始めたのは最近なのだが、中学一年の最初に隣の席になってからの縁らしい。
「じゃあ10年以上も友達で、それから付き合ったんですか?」ときいたら、「俺まだ二十歳だよ」とのこと。衝撃。
さらに彼はED(勃起障害)であり、俺も一時期そうだったという話をしたら結構深い話に…。
お互い一期一会の関係だと思っているから、正直に話してしまう。
肝心の仕事は結構楽。
近くの県まで行って積んで戻ってくるため、移動時間が長くて、眠気をこらえているのが大変だった。
2日連続で同じ派遣先なので、また明日もレポートします。
これを書いてる今の時点ですでに終わっているのだけどね。