それぞれの値段が上がることに対する是非は一旦置いておき、負担だけの部分を見ていきます。
①の証明書はそんなに大量に発行するものではないですし、②の市民健診も受けるのは年に1度だけで数百円~千円程度、④の火葬場の使用料も頻繁に払うものではありません。指定ごみ袋の値上げも、家庭の排出量を考えると、月に100円以下の負担増。ゴミを少なくする努力をすれば負担はあがらないかも知れません。⑥の環境対策事業も、あれば太陽光発電システムや住宅用省エネ機器をつけるインセンティブにはなりますが、制度を利用する方は年間数十人の方です。⑦の給食費補助は月で1100円、1500円と上記の負担よりは大きいですが、節約ややりくりで対応できるかも知れません。
こうみていくと、③の子育て関連の補助廃止、特に保育料の変更が極端な負担増なのです。
(一般質問で使用したパネル) 予算の審査等を通して確認させていただきましたが、
継続して保育を受ける予定の世帯のうち、月5000~2万円の負担が増える世帯が7割、中には年間を通して40万円以上の保育料の増となる家庭もあります。
保育サービスの大きな変更はありません。今までと同じ保育サービスを利用し、月にこれほど大きな金額の増になるとしたら、どう感じますか?
ちなみに、同じサービスを受けていて月に5000~2万円もの負担が増える制度変更は、私が議員をしているここ10年間、大田原ではなかったはすです。他の自治体と比較しても、非常に稀な例なのではないでしょうか。
消費税の数%でも負担感というような議論をしている訳ですが、今回の案件は保護者に対する説明会なども開かれず、いきなり保護者に通知がいくことになりました。
来年度から保育園・こども園に入るご家庭については、秋に申し込んだ段階では前の保育料で、「これくらいの負担なんだな」と準備をされていたことでしょう。年が明けて、保育園に入れると決まり、ホッと一安心したところ、2月に「保育料が数千円~あがります」という通知が市から届いた、ということになります。
本来、行政は市民が安定的な生活を行えるように、負担を上げる際には、その額が大きければ大きいほど、激変の緩和措置を入れます。
一例ですが、給食費も一昨年の全額補助から、昨年8割補助、今年の5割補助と段階を踏んでいますし、平成17年に合併した大田原・湯津上・黒羽の合併後の水道料は、湯津上が安かったのですが、段階を経て平成29年に統一されました。敬老祝金の補助なども段階的に金額を上げていきます。そういった措置が取られていないのです。
これでは、安定的に市民生活を支えるための行政が、子育て世帯の生活のやりくりを混乱させているようなものです。ただでさえ、コロナで収入が減少していたり、負担が増える等しているところに、追い打ちをかけているかのようです。
昨年12月の議会の議論で、既に子育て負担が増えるということが見えてきていました。一般質問を通して「負担が多くなってしまう人を精査し、激変緩和の措置の導入をしてほしい」という話を伝え、何かしらの軽減策は打ってもらえるかと思っていたのですが、そういった手は何も打たれませんでした。私の意見は完全にスルーされたことになります。
『なぜ子育て世帯に負担を押しつけなければならなかったのか…〈連載〉大田原の今を、これからを考える。 ~2021年度3月議会を終えて~ その⑥』に続きます。
(土日お休みし、月曜日の投稿予定です)