幼児教育の無償化で負担が増えた?負担増となる子どもの数は133人…〈連載〉「どうなってんだ大田原市議会!」と心の中で叫んだ。~2020年度3月議会を終えて~その⑤
2020年 03月 29日
市職員の給料カットではなく、臨時職員89人の大幅削減…〈連載〉「どうなってんだ大田原市議会!」と心の中で叫んだ。~2020年度3月議会を終えて~その④の続きです。
臨時職員の大幅減の多くは、学校現場になってしまっている、という話でした。
大田原市は、学校現場に市単独で多くの臨時職員・非常勤職員を配置してきました。リーマンショック後の国の緊急雇用対策の予算なども使いながら教育現場に置くなどして、その制度が終わっても大田原は教育現場の臨時職員の人数を多く維持してきました。これは千保市政から津久井市政に至っても続けられている大田原市の特徴であり、高い教育効果を生み出していたと私は認識しています。市が単独で付けている予算というものは、そこに力を入れるために、負担が大きいので、財政的に見ると、削減する余地が大きい場所、という様になってしまうのでしょう。
私は「教員の働き方改革」という点についても何度も質問させていただいているのですが、教育現場である学校人数を増やすことが何より直接的に働き方改革につながると思っていました。予算審議の中で意見としても述べさせていただきましたが、コロナの雇用対策などが出てくるかもしれませんので、情報をしっかり仕入れてまた改めて必要な臨時職員の配置に向けて検討・対応していただきたいと思っています。
また、次の話題に移っていきます。
今日の本題の「幼児教育無償化による逆転現象」の問題です。
昨年の10月から始まった幼児教育の無償化ですが、「幼児教育の無償化で負担が増える世帯がある」ということが、報道などで話題となりました。
というのも、今までは、保育園では保育料の中におかず代(副食費)が入っていたのですが、そこは無償にはならないため、保育料の中からおかず代を切り分けて、保育料と別に徴収することになったのです。保育料は世帯の所得に応じて値段が決められていますが、大田原市では0円~4万円超まで段階があり、低所得等の世帯は、負担が少なくなっています。そのため、保育料が安かった世帯では、おかず代がもともとの保育料を上回ってしまう、ということがおきる、ということなのです。
国も低所得世帯や多子世帯のおかず代を無料にする等、負担が増えないようにする施策もいれているのですが、県や市も独自の保育施策を乗せているため、上手く調整ができないと、制度の隙間で費用負担が増えてしまう世帯がある、ということだったのです。
3月5日の一般質問の中で、公明党の斎藤光浩議員がその逆転現象が大田原市で起こっていることを指摘しました。
その質問を聞いて、私は「えっ?大田原では起きないようにしたんじゃないの?」と思っていました。というのも、斎藤議員がまだ議会にいなかった前の期の最後の議会であった昨年の9月議会で、私も逆転現象について確認していたからです。長くなってしまうのですが、その時の副市長とのやりとりの議事録を引用したいと思います。
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◆3番(星雅人君) 第61号ということで、幼児教育、保育の無償化に伴ってのさまざまな変更点が挙げられていると思いますが、これで1点ちょっと気になっているのが、無料化になって大体の子育て世帯にとっては負担が少なくなると思うのですが、一部保育料の中から食費の部分が出されてしまうために負担がふえてしまう世帯が一定数いるのではないかという懸念なのです。もし私の懸念で、そういうことにはならないということであればいいのですけれども、ふえてしまう場合、そこの対象世帯等の数等を把握していましたらお伺いしたいと思います。
◎副市長(藤原和美君) それでは、私のほうからお答えいたします。
まず、根本的に今回の場合は、議員おっしゃるとおり保育料、これの無償化でありまして、給食費といいますか、この部分は無償化ではないのです。大田原市の場合は、国のほうではそこは有償化しろという話になっておりますが、制度の中で一部、所得が360万円未満の全ての子とか第3子以降のお子さん、これらについては無料になる部分があります。それ以外については、主食とかは有料ですし、先ほどの話は副食でそういうことになっておりますが、大田原市の場合独自に副食費に対して2,000円の補助をするというふうにしております。人数につきましては、無償化の対象とならない子供、これのうちの371名と見て計算しております。そういう方に対して2,000円の補助をするという形を市独自でとっております。
以上でございます。
(「従来より高くなる人がいるのかどうか」と言う人あり)
◎副市長(藤原和美君) 従来より高くなる人がいるかというご質問でございますが、従来は保育費と給食費を一緒に集めていたわけです。これが切り離されまして、保育料の部分が無償化になるお子さんがいるわけです。それから、無償化にならないお子さんもいるわけです。基本的には、従来国のほうでは給食費に対しては全部お金を徴収しておりましたので、そこから比べますと、大田原市では補助をするお子さんいますので、負担になる方というのはいないのですが、実は納め方というか、徴収の仕方で負担がふえるように感じる世帯はあるかもしれません。しかし、実際には今までは全部かかっていました。栃木県と大田原市の独自の制度で軽減された方もおりますが、基本的にはふえる方はいないというふうに認識しております。
以上です。
◆3番(星雅人君) ちょっと答弁が、済みません、これ制度が複雑なので、私たちのほうでも理解がまだ足りない部分はあるかもしれないのですけれども、同等のサービスを受ける場合に実質的な支払いがふえる方がいないということでそれは単純に捉えてしまっていいのか。切り分けられたことで負担がふえてしまう方が実際にはいらっしゃる。そのための軽減措置としていろいろなことをやっているのだということなのかということをシンプルにお答えいただければと思うのですけれども。
◎副市長(藤原和美君) 私の答弁の仕方も私の理解もちょっと浅くて済みません。
今までは保育料と食費を一緒に徴収していました。保育料のほうは無償になる方が大半でございます。一部ゼロ、2歳児では無償にならない方いますが、給食費というか、食費に関しては今まで全員が有償でした。その中で保育料と一緒に徴収していましたので、食費としての感覚がなかったわけです、納めるほうの保護者に。国のほうでは、食費については有償にしなさいというか、今までも有償だったから有償のままですよ、保育料は無償なのですよ、こういうふうに分けられたわけです。そうすると、一緒に徴収していたもので給食費が発生する方というか、今までも発生していましたが、その方が無償になったのに何で納めるのだよというような感覚を持つかと思うのです。しかし、大田原市ではその方の一部の方につきまして2,000円の補助をしたいということで独自の補助を設けております。だから、ふえる方はもともといないのです。例えば給食費が10かかっていたとしますよね、仮に。保育料が30かかっていたとします。そうすると40納めていたわけです。もともと10も給食費としてあったわけです。それが30の部分が無償ですからゼロになった方がいます。そうすると10を納めなくてはならないわけです。もともとかかっていたやつですから、ふえていないのです。そのほかに、それに上乗せをして市のほうでは2,000円の補助をしますよということでございます。
済みません、答弁がまどろっこしくなってしまって。
◆3番(星雅人君) すごくご丁寧な答弁をいただいていると思うのですけれども、基本的には減ることはあってもふえることはないということで理解していい。でも、無償化という言葉と違って、ちょっとは食費の部分が出てくることもあるかもしれないけれども、今までよりは絶対に下がりますよという理解でよろしいのか、そのことをお伺いしたいと思います。
◎副市長(藤原和美君) ただいま議員がおっしゃられたとおりでございます。
◎副市長(藤原和美君) 私のほうでさっきの人数で371名とお答えしましたが、3歳から5歳の給食費の負担が生ずる人数は1,671名でございました。済みません、違う資料の部分を見ておりました。訂正いたします。
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以上が議事録の引用です。ややこしいやりとりになってしまっているのですが、私はこの質疑通して、市は逆転現象をなくす対策を取った、という認識を持っていました。
これも予算審査を通して確認をさせてもらったのですが、実際にはおかず代(副食費)が以前の保育料を上回り負担が増えてしまっている子どもは133人とのことでありました。
(世帯数は確認できませんでしたが、兄弟姉妹の別の子の負担が大きく軽減となってトータルで削減が多くなる世帯もあると考えられるので、負担が増えた世帯はこの人数よりは減ると予想されます。)
『当分の間とはいつまでか問題…〈連載〉「どうなってんだ大田原市議会!」と心の中で叫んだ。~2020年度3月議会を終えて~その⑥』に続きます。