
2、再開発ビルの床単価について
前回13階から7階に変更された再開発ビルの話をしましたが、
そもそも再開発ビルを建てたのは、市ではありません。
再開発組合が建てました。
再開発組合の正確な名前は「中央通り地区市街地再開発組合」といいます。
(再開発組合には市も入っています)
この組合は、中央通り地区再開発ビルの建設のための組合です。
再開発組合は以下の手順でビル建てていきます。
→そこの土地を持っていた地権者(一般の方や市)が土地を組合に預ける。
→組合が補助金などの支援を受けながら、ビルを建てる。
→土地の権利分だけ、ビルの床を地権者に返す(権利返還といいます)。
→残りの床を売って赤字を清算して組合は解散。
床を売って赤字を解消しないと、組合はいつまでも解散できないということになるようです。
さて、ビルの総事業費は34億ほどだと前の記事で書きましたが、
そのお金は、誰が出しているのでしょうか。
まずビルを建てる際に調査設計計画費、土地整備費、補償費、工事費の一部に充てるため、
およそ11億の補助金が入っています。
総事業費が34億ですから、残り23億円ほどは、床を売ったお金をあてなくてはいけません。
1階 まちづくりカンパニーが買って、テナントミックス事業を行う。
2~4階 市が買って、こども未来館、市民交流センター、図書館になる。
5~7階 マンションとして売りに出される。
全年度末、床単価の話が出てきました。
階と購入者によって、買う床の単価が大きく変わってくるというのです。
(かっこの中は購入する面積です)
1階 まちカン 18、6万円/㎡(1,579.1㎡)
1階 権利者店舗 19、3万円/㎡(143.1㎡)
2~4階 市 36、7万円/㎡(4,956.8㎡)
5~7階 住宅分譲者 23、0万円/㎡ (885.1㎡)
(このデータは今年2月末のデータですので、細かい数値のずれはあるようです)
市が買う部分は、なぜ1階の2倍くらいの値段なのでしょうか。
商業施設ならば、1階の通りに面した部分が高くなるはずです。
住宅ならば、普通は高い場所ほど金額も高くなるようです。
この単価の設定には、こんなカラクリがあります。
まず、再開発組合の解散は絶対にしなければなりませんので
床を売ることでなんとしても23億円を得なくてはいけません。
23億を床面積で単純に割ると、一階の商業床や上の住宅床が
この地域の店舗や住宅に比べて高くなり、誰も入らなくなってしまうのです。
そうしたら、元も子もありません。
なので、床の値段を決めるに当たって、
商業床や住宅床は周りの状況なども計算式に入ってくるのです。
1階は商業の採算がとれる価格に下げなければ売れない、
5~7階は住宅を購入してくれる価格に下げなければ売れない、
2~4階は、市が絶対買ってくれる。
そんなわけで、市が高い買い物をすることになりました。
今年度の3月議会の話です。
納得はいきませんでしたが、対案が出せず、
星も予算案に賛成いたしました。
建設までにかかるコスト34億のうち、補助金などで11億、
残りの23億のうちの18億は、市が床を購入することでまかなわれます。
なので、再開発ビルは、総事業費34億円のうち、
約29億円は税金を使って建てられたビルだということです。
そもそも、民間で採算が取れれば税金をたくさん投入して再開発をする必要はないので、
それだけの負担を公共が負ってでも中心市街地の活性化をする必要があるというのが、
市や県や国の考え方だということです。
続く
なお、金土日と、奈良での青年会議所の全国大会
及び岡山での全国学童保育研究集会に参加してきますので、
数日間連載記事をおやすみさせていただきます。
来週の配信をお待ちください。