大田原市では、学童保育に子どもを預けている保護者と担当課(こども課)との懇談会を持ってくれている。
その場で、保護者さんたちは保護者の総意としての要望をこども課に伝えてきた。
去年、市長が千保一夫市長から津久井富雄市長に変わった後、うちの学童の保護者さんや指導員仲間と共にタウンミーティングに参加し、「市長との懇談会」を要望したところ、保護者と市長の懇談会を年三回も持ってくれることになった。
その懇談会には市長と、保護者さんと、担当課の職員さん方が参加する。
その懇談会が行われることが決まったあと、市内の全部の学童に連絡をし、会議→要望書作成を繰り返す中で、大田原の学童の問題点や、持っていくべき方向がある程度見えてきた。
ただ、担当課との懇談会にも、市長との懇談会にも、現場にいる指導員は参加させてもらえない。
当事者(子どもと、実際に子どもたちと向き合う指導員)の声も、直接聞いてほしいし、話に加わりたい。
保護者と行政と指導員と、みなで学童のことを考えていきたい。
僕にはそんな思いがあって、「懇談会に参加させてほしい」と頼みにいった。
そうしたらこども課の職員さんに「それは無理ですね」と言われた。
理由はこうなります。
市は学童保育を運営委員会に委託している。
その運営委員会が僕ら指導員を雇用している。
学童保育館の中に問題点があるのであれば、まず、指導員が共通認識を持ち、指導員の中で解決し得ない事は、主任指導員を通して館長にあげる。
館長が必要だと思ったら館長が運営委員さんを集め、運営委員で解決し得ない問題であれば、運営委員会の総意を館長が市に伝え、そこでやっと市の担当課が考えると。
確かに、理屈で言えば、もっともである。
僕は、大田原市の指導員の待遇があまりにも悪い(公設民営で主任指導員月95000円、指導員90000円、一年雇用なので昇給なし。民設民営はそれ以下。)と思っている。
「学童保育の質は、指導員の質。」
人一人が食っていけないという待遇の低さは、学童の質に直結すると思っていて、そこは何とかしていきたい。
僕は、学童保育指導員だけをして食べていける人が出てくれば、学童の質は向上すると確信している。
このような問題意識にそって、僕が市の担当がいうような「あるべき形」で学童の仕組みを変えていこうとすると、
①周りの指導員に今の待遇では子どもたちを質の高い保育をするにあたって不十分だという意識を持ってもらって、
②指導員の考えが一致したら館長に相談して年に1、2度しか集まらない運営委員を集めてもらって、それぞれの委員を説得し、
③運営委員会の考えが一致したら市のこども課に伝えて、
④こども課なり、その上の保健福祉部なり、その上の市長が「それは改善するべきだ」と判断してやっっっっっっと変わると。
どこまで手続き踏まなきゃいけないんだよ。正直げんなりします。
相当頑張ってやってきたつもりだけれども、そもそも①がクリアできない。
メインの理由は扶養控除という強靭な壁。前にも書いたので、リンクを貼っておく。
「なんで学童保育の指導員をしているのか?⑲」
「なんで学童保育の指導員をしているのか?その⑳」
「なんで学童保育の指導員をしているのか?その21」
かなりハードル高そうでしょう?
仮に他の指導員さんと合意が得られても、次は②運営委員さんの説得。保護者会長さん、自治会長さん、ここら辺までは頑張れば説得できるかもしれないさ。ただ、運営委員会には「こども課長」も入っているんですよ。
これは4年生以上の受け入れの話なんだけれど、ある学童の指導員さんが『人数が少ない年に、4年以上の受け入れをしてもいいか、とこども課に話にいったら「運営委員会にかけろ」と言われ、運営委員会にもっていったらその運営委員に課長が出てきて「それは無理です」といってつぶされた』というような話もある。
仮に運営委員会を潜り抜けたとしてもその先がこども課…。
ひとつの学童の運営委員からそういった声があがって来ても「そういっている学童もある」ということだけで済ませてしまうことも簡単。
つまりはこども課や保健福祉部や市長がその気にならなければ何にもならないってことだ。
なんだか釈然としない。
この強固なシステムの内部から自分と反対の考え方の人をひとりひとり説得していくよりも、
自分と近い考え方の保護者さんたちと手を組んで、民意として市の考え方を変えてもらうことの方が簡単なのじゃないかと思ってしまう。
あとは、足しげくこども課に通ってこども課の方の認識を変えてもらうことだろうか。
(多分実際は両側からのアプローチが必要なんだろう)
大田原市では教育に力を入れている。
学校の中には、他の市よりかなり多い数の加配教員・指導員がいる。
こどもの学習や学校内の生活を支えることは、素晴らしいと思います。
ただ、放課後に対するまなざしが足りない。
学校の外の子どもたちの生活を支えることが、どれだけ学校の中の子どもたちを支えることにつながっているか、という視点が抜け落ちている様に僕には感じられる。
この現状は本当に悲しく、これを変えていく道のりは本当に苦しいけれども、本当に何とかしていきたいことなのです。
折れそうになりながらも、保護者さんや意識の高い指導員さん、他地域の指導員さん達とのつながりを心の支えにし、何とかやっています。
粘り強く、しつこくいきたいと思います。
今学童にいる子どもたちのため、
自分の生活のため、
これから学童に入ってくる子どもたちのため、
これから学童に入ってくる指導員さんの生活のために。

極端に言えばそんな感じがします。
本当に意識の高い人をつかまえて、一緒になって声を挙げ、動いていくしかないんですかね。
学童のために、そして子どものためにひた向きになっている。
やっぱり星さんは熱いね!
初めて会った時からそう感じてました。
未来の日本を担う子どもたちのため、共にがんばりましょう!!
出来る限り応援していきますよ。

コメントありがとうございます!
>行政にしても、保護者にしても、そして直接関わっている指導員にしても、「学童保育に対しては何も期待していないよ~」みたいな…
極端に言えばそんな感じがします。
本当にそうですね。強く共感します。
でもやっぱり意識のある人はところどころにいて、
そういった人と手をつなぎながら、
仲間を増やしていくしかないんでしょうね。
暑苦しくてすいませんw
同じように感じてくれている仲間がいることに救われます。
共に頑張りましょう!!
コメントありがとうございます。
そう言いたくなる気持ちを抑えてブログを書きました。
協働などと言いますが、そういったスローガンで頑張っているのは市民ばかりだったりして…。
市役所と一口にいっても、職員さん1人1人全然違います。
人によって、配置された課の仕事に対する意識やモチベーションも全然違うでしょう。
市民のために勉強し、努力している職員さんがいることも僕は知っています。
となると市民にとってはくじ引きみたいなもの…?

〉①周りの指導員に今の待遇では子どもたちを
〉質の高い保育をするにあたって不十分だという
〉意識を持ってもらって、
〉②指導員の考えが一致したら(以下略)
つまり、指導員さん達が全員集まって
「給料が安いから我々の様な人材しか集まらない!」
と、共同声明を出せってことですね。
役所、アホ過ぎ…。
結局は、役所は上記の様な机上の空論を本気で出来るとは考えていませんね。一言で、自分達が面倒くさいことをやらなくてすむ様な、たくみな制度作りをやってるだけですよ。ほんとアホです。
一つ、職員報酬額と職員レベルの質問題は切り離した方が分り易い様な気がしました。タヌキとキツネを相手にするのだかっら、星さんももっとズルくなれ!www

>つまり、指導員さん達が全員集まって
「給料が安いから我々の様な人材しか集まらない!」
と、共同声明を出せってことですね。
確かに、そういう風に受け取れますよね。
報酬額と保育の質は、切り離した方がわかりやすいですか。
確かに、待遇を上げなくても質が上がればそれに越したことはないですよね(市としては、保護者としては)。
僕は、指導員の保育の質の問題と、自分が暮らしていけない現状を、一足飛びに質と待遇を結び付けすぎなのかもしれませんねぇ。
でも、やる気のある人は現場から去ってしまうというねじれがあるんです。そして、待遇が悪いのに保育の質がいい地域なんてないんですよ。
ただ、この論法でいくと、「現状があまりよい状況でない」ということを力説せざるを得なくて、そうすると内部の人の共感が得られないという。
切り離したとき、どういった風に考えたらいいのか、アイデアあったらください。
そうですね、公務員になる理由が「市民のため…」なんて人、聞いたことないですからね。一握りはもちろんいるんでしょうけれど。他市で素晴らしい公務員知ってますし。
僕は待遇を上げたほうがいいといっていますが、ただお金をあげればいい、と言っているのではなく、「ここのお金をこういう風に使ったら、同じお金でもずいぶん学童よくなると思いますよ」という事を提案したいのですが、なかなか分かってもらえません。
「何で苦しんでいるのか」に単純に耳を傾けてくれるだけでも全然違うんですけれどね…。

〉切り離したとき、どういった風に考えたらいいのか、
〉アイデアあったらください。
思うに、
私が考える福祉の改善案と似てるかも?
レベルアップの件は、
子供たちへの接し方の理論を職員が共有すること。
例えば、
読み聞かせのおばちゃんの時間に騒がしい子達に
A.静かに聞きなさい!
と、教えるのか、
B.別な解決策を取る
のか、共通認識を持つ必要性を思い浮かべました。
しかし、市内の学童でさえ一貫した理念が無いとのお話し、マズはそこからかも知れませんね。職員にはある種の研修を義務化するとかだと思いました。
ただし、この様な思想は行政の立ち上げ時の要綱には
存在しないと思われるので、壁は大きそうですねぇ。

むしろ、職員のレベルアップと繋げるのはマズイんかも。
「良い職員をいつかせる為に一般的な給料を!」
と言った瞬間に、
「空いた時間に扶養家族内の労働には良い給料」
的な世間の思想を見せちゃうので、
こちら側に不利な要素になる恐れがあるかもです。
同一労働同一賃金の考え方が崩れる恐れありです。
この辺りの交渉術は、
労働組合系の方に聞いた方が良いかも?

>思うに、
>私が考える福祉の改善案と似てるかも?
>レベルアップの件は、
>子供たちへの接し方の理論を職員が共有すること。
そのとおりですね。
理念はないんですが、事業の目的はあるわけで。
それも一応大田原市の学童の条例に入っているわけなんですが、
http://www.city.ohtawara.tochigi.jp/reiki/act/content/content130006174_1.htm
でみられたんですが、今見られなくなってます。
なんでだろう。
こちらは市のHPの、学童保育の部分。
http://www.city.ohtawara.tochigi.jp/6,5348,13,112.html
労働組合つくって交渉して…という過程を踏むよりは、
むしろ学童をやるNPOを作って、学童の運営を受託したいという気持ちですね…。
HP見ました。横浜は学童以外の放課後事業がある地域なので、むずかしいですが、全部が公務員という地域じゃなかったような…?
公務員化していく、という話がかつてあったということなんでしょうか。
「専門職としての能力をもつ指導員の確保」とありましたが、それができればいいと思います。
保育の質を保証することが大切。
同じ横浜なら、こんなページもありますよ。
http://www.d3.dion.ne.jp/~hama_gkd/top/about_gkd.htm

世の流れからすると、
「NPOを作って学童を」
スッゴイ良いと思います!
NPOは、
行政には不可能な取り組みを行える良さがありますね。
星さんの様に理念の高い参入が集まれば大歓迎です。
一方、↑ うがった見方をすれば、
学童の目的は国策に通じる部分が多いので、
国の仕事だと思うのです。
それを国が市町村へ丸投げしたマデは許すとしても、
NPO任せは行政のコストダウンが見え隠れします。
これは自民時代に小さな政府を目指した結果ですが、
本当に「民間でできることは民間で」が正しいのか?
国が責任を持つべき分野も多いと思う。
学童の条例は
私も大田原市のページにたどり着いたのですが、
条例を削除した痕跡しか見当たりませんでした。
どんな事情だろ。
横浜のページ、
「けんかもしながら」
ってのがイイですね。。。
大田原の学童保育について言うと、
公設民営の委託料よりも民設民営の補助金の方が極端に少ないという現状があります。
なので、僕が今の学童の運営費がもらえるならばもっとうまいやり方があるので「NPOを立ち上げよう」と思ったとしても、
実際NPOとして立ち上げたら今僕がいる学童の半分くらいしか公的なお金が入ってこない事になります。
NPOがただのコストダウンのためだけの下請けになってしまうなんてことは、
ぜっっっっったいに間違っていると思います。
子どもに関すること、教育に関することは、ことさら国や自治体が責任を負うべきだと思います。
それをより高いクオリティで達成しようとするNPOに任せるんだから、同じ基準でNPOにも上げるならともかく、減るっていうのはおかしいと思います。
学童の条例、削除したんですかね…
削除する理由が思い浮かばない…
あるとしたら、ここ関連(^_^;)?